【読書レビュー】『初歩からわかる数学的ロジカルシンキング』永野裕之
“「ロジカルシンキング」とは、主にコンサルティング会社で使われていたコミュニケーション能力を高めるためのスキルのことを指します。それは理解のしやすさと説得力を高めて、伝えたいことをできるだけわかりやすく説明する方法と言い換えることができるでしょう。 一方、ロジカルシンキングを直訳すれば「論理的思考」となります。論理的思考というのは すべての人間は死ぬ
⇒ソクラテスは人間である
⇒よってソクラテスは死ぬ
といった三段論法に代表されるような、立場・主義・主張の如何を問わずどのような人間にとっても正しいことが明白な結論を導く考え方のことです。論理というブロックを積み上げることで真理を探究してきて哲学や数学の歴史とは論理的思考の歴史であるといっても過言ではありません。この意味における「ロジカルシンキング」は、ヒラメキや勘では太刀打ちできない問題を解決しようとするときに大きな力を発揮します。”(p.4,5)
と、このように「ロジカルシンキング」を定義しています。
そして、ロジカルシンキングには「できるだけわかりやすく説明する」コミュニケーション能力としての側面と、「正しいことが明白な結論を導く」問題解決能力としての側面の二つがあるそうです。
「使うのは中学の数学だけ!」と銘打ってあり、文章も平易なので数学が大の苦手!という方でも入っていきやすいと思います。ぜひ、読んでみてください。
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【アニメ考察】『プリパラ』ファルルと 「0-week-old」
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【読書レビュー】『紙の動物園』ケン・リュウ
ジャックはアメリカ人の父と中国人の母との間に生まれた子供だった。子供の頃、ジャックが泣き止まないとき母はいつも包装紙でいろいろな動物を折ってくれた。だがジャックは成長するにつれ、アメリカに馴染めないでいる中国人の母をだんだん厭うようになり、その折り紙すら蓋をしてしまい込んでしまうようになる。そして、父と母との馴れ初めを知ってますます嫌悪感と無関心がジャックの中に広がっていく。 しかしジャックは彼女の死後、彼女の生い立ちを折り紙の虎から教えられ、彼女の折り紙に魔法が宿っていることを知ることになる。
魔法。つまり愛。
私の好きな言葉の一つに「愛がなければ視えない」というのがあります。例えば、ある人に対して敵意を持って見ればその人は極悪人のように映るかもしれない。しかし、愛情や真心を持って見ればその人に対してなんらかの共感や理解が芽生えるかもしれない。ジャックは母の死後、それをやっと理解したのだと思います。
繊細で優しい短編でした。
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【読書レビュー】『にごりえ・たけくらべ』樋口一葉
【アニメ考察】『プリパラ』における音の機能
概要
『プリパラ』は「プリパラ」という誰もがアイドルになれるテーマパークの中で登場人物達が全てのアイドルの頂点である神アイドルを目指して切磋琢磨するというストーリーである。作中において音が効果的に用いられているのはアイドルがライブをするシーンである。ライブは登場人物を演じる声優が歌唱を担当している。内容はCG映像による登場人物のダンスと共に登場人物の個性を表現した歌を披露するというものである。ライブシーンは毎話必ず、最低でも一回は挿入される。 このライブシーンには⑴登場人物の個性を表現する機能⑵ゲームでの体験を豊かにする機能⑶作品世界と現実世界とを繋ぐ機能の3つの機能があると考えた。
⑴登場人物の個性を表現する機能
登場人物はそれぞれが固有の性格や生い立ちなどを持ち、それをライブで表現する。時にはチームを組み、チームのメンバーの個性を掛け合わせたライブを行う。 登場人物の個性が表現されているライブとしてファルル というアイドルを例に挙げる。ファルル のライブには2通りが存在し、ファルル の個性の変化によってライブが変化するという仕組みになっている。ファルル は主人公と出会う前までは「プリパラ」の中でしか生きられない存在であり、生命を持たない人形であった。しかし主人公と出会い友情を知ってからは、生命を手に入れ新しい自己を手に入れる。このファルル の変化はファルル の声優である赤崎千夏によるライブ時の歌い方の変化に顕著に表れている。おそらく生命を持たないファルル は無機質な声音で歌い、生命を得たファルル は生き生きとした声音で歌うというように歌い分けているのだろう。このように、ライブには登場人物の個性を表現する機能があると考える。
⑵ゲームでの体験を豊かにする機能
『プリパラ』はタカラトミーによるゲームでもあることから、販促効果についても指摘する。ゲーム版『プリパラ』は大型ショッピングセンターなどに設置されている筐体で遊ぶリズムゲームである。 遊び方の大まかな流れを説明する。まず洋服やアクセサリーなどが描かれたカードをカスタマイズして筐体にスキャンし、オリジナルの「マイキャラ」を作る。そして、アニメのライブシーンをそのまま再現したかのようなCG映像と楽曲に合わせて画面の中で踊るマイキャラを鑑賞しながらリズムゲームをする。以上がゲーム版『プリパラ』の大まかな遊び方の流れである。 楽曲は筐体にしかないものもあるが、大半はアニメで放送されたライブにおいて使用されたものである。ライブシーンで使用された歌をゲームで用いることで、ゲームをプレイすることを通して作品世界との一体感が生まれることが期待される。このような体験を売ることを目的とする機能があるのではないかと考える。
⑶作品世界と現実世界とを繋ぐ機能
また、『プリパラ』と同様、アイドルが歌って踊るライブシーンを取り入れている作品に『アイカツ!』がある。しかし『アイカツ!』は登場人物を演じる声優と歌唱を担当する歌手が異なるという点が『プリパラ』とは異なる。この点から、『アイカツ!』よりも『プリパラ』の方が登場人物と歌唱担当とが密接に結びついていると言うことができる。 『プリパラ』では登場人物を演じる声優が舞台に立ち、登場人物と同じ衣装を着て、登場人物になりきって演技をしながらライブを行う。それだけでなく、登場人物同士のかけ合いも再現して見せるなどのパフォーマンスも行われる。このように声優と登場人物がシンクロすることで作品世界と現実世界とを繋ぐ機能があると考える。
まとめ
『プリパラ』におけるライブシーンには主に3つの機能があると考察した。『プリパラ』では歌を通して登場人物に対する理解を深め、ゲームでの体験を通して作品世界に参入することができる。そして声優が登場人物とシンクロすることで作品世界と現実世界の繋がりを錯覚させることに繋がるのである。しかしそうしたプロセスにおいて声優の役割が些か重過ぎるのではないかという憂慮もある。声優はあくまで演者であり登場人物そのものではない。声優と登場人物のシンクロへのあまりに度が過ぎた期待は声優にとって重荷となりかねないということをファンは肝に銘じる必要があると考える。
【読書レビュー】『わかれ道』樋口一葉
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