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【アニメ考察】『プリパラ』ファルルと 「0-week-old」

謎のボーカルドール・ファルルと、歌詞が2通りあるファルルの持ち歌「0-week-old 」(ゼロウィークオールド、ラブウィークオールド)はプリパラの世界観をよりメルヘンやファンタジーなものにする一方で、ちょっぴりダークな面を覗くような好奇心をそそります。 プリパラはアイドルになりたい女の子たちが集まるテーマパークです。プリチケが届いたら誰でもプリパラに行くことができるようになります。プリパラ内ではトモチケをパキッて交換しあうことが友達の証になります。 プリパラの物語において、主人公のらぁらの次に重要なキャラであるファルル。ファルルは強力なライバルとしてらぁらたちの前に立ちはだかります。 1期17話のハロウィン回での初登場は、夕暮れ時の薄暗い路地からひっそりと現れてどこか謎めいた雰囲気を感じさせます。鏡写しのようにらぁらの動きをまねるファルル。「らぁら キラキラ プリズムボイス」と言い残して去っていきます。 ファルルはアイドルに憧れる女の子たちの思いが集まってできたプリチケから生まれたボーカルドールです。ボーカルドールとは、プリパラの中で生まれて、生まれながらにアイドルの頂点に立つ才能を持つといわれている、都市伝説的な存在です。そして、希少だとされるプリズムボイスの持ち主です。プリズムボイスとは人の心の奥まで気持ちを届けることができる歌声のことで、らぁらも未熟ながらその歌声の持ち主です。 ファルルはマネージャーのユニコンに管理され、「生まれた時からアイドル」で「雲の上の存在」なのだと教えられながら、順風満帆に人気アイドルへの階段を登っていきます。 しかし、何の疑問も持たずに用意された道を歩くだけの日々に、らぁらと出会ったことで変化が生まれます。 らぁらとの「約束」でファルルはプリパスという端末を通してプリパラの外の世界を見ます。あわただしい学校の様子や、本の中でしか見たことがなかった男の子の姿、そしてくるくると動く小さくてかわいいらぁらの妹・のん。 学校で生き物係をしているのんはファルルに温室で自分が世話をして育てている花々を見せます。ここでファルルが「いきもの…」と呟いているのは、操り人形だったファルルが生命に対する強い憧れを抱いていることがよく表れています。そして、妹とは「小さいけどけっこう重たくて、こわーいもの」だ、というらぁらの言葉から、古びたロボットの置物に「ファルルののん」と名付け、らぁらの妹・のんに贈られたアネモネを挿して大切にするようになります。 生まれた時からアイドルだったファルルは、ファンを増やす以外のこと、友達をつくりたいという思いを抱くようになります。 しかし、ファルルはらぁらとトモチケをパキった瞬間に深い眠りについてしまいます。実はアイドルになるためにプリチケから生まれてきたファルルにとって友達が欲しいという気持ちはシステムに生じたバグのようなものとして処理されてしまうため、トモチケをパキッたことでファルルの機能は停止してしまったのです。 この辺りは糸巻きの針が刺さって死ぬ呪いをかけられた「眠り姫」を思わせます。ファルルの隣で泣き叫んでいるユニコンは「白雪姫」で毒リンゴをかじってしまったために屍になってしまったお姫さまの死を惜しむ小人の姿に重なります。悪いものを取り込んだために永遠の眠りについてしまうという、童話の中のお姫さまの型通りの運命。愛を知ってしまえば生きられないと歌っている0-week-old (ゼロウィークオールド)をなぞるような展開です。 ファルルを目覚めさせるには奇跡を起こしてファルルの心の奥に想いを届けるしかない。そこでらぁらのプリズムボイスを頼みに歌を届けましたが、そのライブは失敗。しかし、会場やテレビ中継で見ていたみんなが声を合わせて歌った歌声がプリズムボイスとなってファルルの心に想いが届き、ファルルを再び目覚めさせることに成功します。 この時らぁら達やみんなが歌ったのはプリパラ1期1〜13話までのOPテーマ、「Make it !」です。 Make it !はプリパラという作品の「誰だって叶えられる」「理想、憧れ、夢」というテーマを歌った曲です。 最初は女の子たちが夢を叶える世界であるプリパラへの憧れ、つまりらぁらのアイドルへの憧れを象徴する曲でしたが、ファルルがらぁらやみれぃ、そふぃ、ドロシー、レオナ、シオンたちと出会って友情のきらめきを知り、外の世界や友達を作ることへの憧れを抱くようになったことを象徴する曲としても解釈できます。 すると、Make it !には「おしゃれなあの子マネするより自分らしさが一番でしょ、ハートの輝き感じたなら理想探しに出かけようよ」と始まって、「キラキラ」(らぁらはファルルが自分の声を聞いてキラキラと言ってくれたことを思い出して涙ぐんでいます)、などファルルへのメッセージとなるエッセンスが散りばめられていることに気づきます。 「ファルルは知りたかったんでちゅ。見たかったんでちゅ。つかみたかったんでちゅ。自分の生まれてきた世界を……。そうでちゅよね、誰だってそうでちゅよね」 「誰でも強く願えば人の心の奥まで届く声になるということでちゅか」 このユニコンの言葉も、劇中でのMake it !の歌詞をいっそう輝かせます。 眠りから目覚めたファルルは 「Make it ! ときめく心が素敵でしょ Make up! 大好きが今の答えでしょ 憧れた その気持ち 夢見るためのチケット Lady ! Ready to go ! Paradise ! 」 と歌っています。目覚めのファルルとして愛する心を得たファルルはその後無事にトモチケをパキることができるようになりました。ファルルはボーカルドールから普通の女の子に生まれ変わったのです。 ファルルは1期の最終回でユニコンと共にらぁらたちのプリパラであるパラ宿(原宿をもじった名称)を去り、プリパリへ旅立ちます。そして2期58話「帰ってきたファルルでちゅ」でユニコンやたくさんのミニファルル達をつれてパラ宿に再びやってきます。 ミニファルルとはファルルと同様に持ち主のいないプリチケから生まれたボーカルドール達のことで、ファルルはいわば妹のような存在であるミニファルル達を愛情をこめてお世話しているようです。 ここではらぁらの妹・のんとの交流が思い出されます。ファルルにとって、のんは生命(いのち)の熱や愛によってもたらされる輝き、そして世界の色彩を教えてくれた存在。0-week-old (ラブウィークオールド)のメイキングドラマ(見せ場のシーン)は、のんに贈られたアネモネの花びらがファルルの胸に落ちてくると、セピア色の風景に色がつき、花が一斉に咲き始めるというものですが、ファルルの心象を表現したものなのでしょう。 ファルルはらぁらの妹であるのんに対して花の種をプリパリからのおみやげに贈っています。 0-week-old (ラブウィークオールド)は2期を象徴する曲でもあると思います。紫京院ひびきとのことも含めて、また書ければいいなと思います。ありがとうございました。

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